境内の風景

石橋

石橋

境内を取り囲んでいるフェンスの脇を用水路が流れているが、参道入口前を流れる用水路に石橋が架かっている。石橋から望む参道・鳥居・社叢(しゃそう)の風景は、なかなか趣がある。

社号標

社号標

石橋を渡って石畳の参道を進んだ右手に「村社久伊豆神社」と刻まれた社号標がある。
 
脇銘は「伊勢太々講」(いせだいだいこう)「大正十五年四月建設」のほか奉納者名(伊勢太々講の講員18人の名前)が刻まれている。
 
この石塔(社号標)は、大正15年(1926年)に、お伊勢参りをした記念に、野島村の伊勢太々講の講員たちによって、奉納された。

幟立

幟立

鳥居の前、参道両脇には、幟立石(のぼりたていし)が置かれ、幟立石には、ステンレス製のポールが、はめ込まれている。幟立石には、「村家安泰」「皇国静□」「明治□□年」「大正六年修善」などの銘が刻まれている。

石鳥居

石鳥居

石鳥居は神明型。建立年代は不詳。貫(ぬき)には、しめ縄が張られ、縄には紙垂(しで)が付けられている。神額は掲げられていない。

参道

参道

鳥居をくぐると石畳の参道が社殿まで続く。境内は細長いので、奥行きが深く感じる。参道両脇の木立(こだち)も神々しい。

幟竿置き場

幟竿置き場

参道の中ほど、左手にあるトタン屋根囲いの幟竿置き場に、かつて使われた木の幟竿(のぼりざお)が置かれている。幟竿は、今はステンレス製が主流だが、昔は、木の竿だった。

大典記念碑

大典記念碑

参道をさらに進んだ左手、植木の両脇に記念碑が二基、立っている。

昭和天皇御大典記念碑

昭和天皇御大典記念碑

向かって左は、昭和天皇の即位大礼(御大典)を記念して建てられた「大典記念碑」。昭和3年(928)5月建立。主銘は「昭和大典記念」

大正天皇御大典記念碑

大正天皇御大典記念碑

向かって右は、大正天皇の即位大礼(御大典)を記念して建てられた「御大典記念碑」。正6年(1917)9月建立。主銘は「御大典紀年」

三基の石造物

三基の石造物

大典記念碑の横には、前述した、三基の石造物(文字塔・力石・庚申塔)が鞘堂の中に並べられている。

国旗掲揚塔

国旗掲揚塔

参道をはさんで三基の石造物の対面にある石造物は、国旗掲揚塔。正面に「国威宣揚」と刻まれている。昭和17年(1932)建立。太平洋戦争開戦1周年を記念して寄進された。
 
裏面の銘は、「大東亜戦争(太平洋戦争)一周年記念」「荻島青年団第一分団第一班」「国旗掲揚塔建設者」のほか、寄進者19人の名前が確認できる。荻島村長・国民学校長・村会議員などの名前も見える。

拝殿

拝殿

拝殿は、瓦葺き屋根の格子戸造り。屋根のてっぺん(大棟=おおむね)の下に「久」「伊」「豆」「社」の文字がみられる。

本殿

本殿

本殿の様式は流れ造り。小さいながらも厳かな雰囲気がただよっている。

場所

久伊豆神社|越谷市野島

野島久伊豆神社の住所は、埼玉県越谷市野島261( 地図 )。郵便番号は 343-0801。場所は、浄山寺(野島地蔵尊)の南、越谷岩槻線と浄山寺の中間にある。

参考文献

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

加藤幸一「荻島地区石仏」平成14年度調査/平成29年3月改定(越谷市立図書館所蔵)
越谷市役所『越谷ふるさと散歩(上)』越谷市史編さん室(昭和54年8月2日発行)
埼玉県神社庁神社調査団編『埼玉の神社(北足立・児玉・南埼玉)』埼玉県神社庁(平成10年3月31日発行)
『新編武蔵風土記稿 第十巻(大日本地誌大系)⑯』雄山閣(平成8年6月20日発行)
外山晴彦・『サライ』編集部編『歴史が分かる、腑に落ちる神社の見方』小学館(2007年7月15日 初版第6刷発行)
日本石仏協会編『石仏巡り入門―見方・愉しみ方』大法輪閣(平成9年9月25日発行)
日本石仏協会編『新版・石仏探訪必携ハンドブック』青娥書房(2011年4月1日発行)